日本酒の銘柄 三大酒どころとその特徴について解説!

現在、日本には日本酒(清酒)が造られる酒蔵が全国に1,000以上あります。名水とお米に恵まれる地域では、昔から日本酒造りが盛んに行われてきました。

ですが、数多くある酒蔵やお酒の中から自分の好みに合った日本酒を見つけられるかどうか、少し心配な人もいるのではないでしょうか。

本記事では、「日本の三大酒どころ(酒処)」を中心に解説します。各地域の気候風土が生む風味や香りの特徴や、知名度が高い銘柄や酒蔵などを幅広く紹介します。

今回は、兵庫県、京都府、広島県を三大酒どころとして紹介していますが、実は日本のどこを「三大」酒どころとするのかは諸説あります。

自分に合った日本酒探しのきっかけとして、ぜひ本記事を参考にしてみて下さいね。

目次

【1】日本酒の銘柄 よくあるQ&Aとは?

最初に、よくあるQ&Aを通して「日本酒と地域の関係」について紹介します。

(1)日本酒の酒蔵・銘柄の数は?

現在、日本酒の酒蔵数は1,100以上、銘柄は1万以上だと言われています。

この酒蔵数は、他のお酒に比べると多いものの、推移を見ると次第に減りつつあるのがわかります。

特に、1999年から2019年の20年間で、約4割が廃業に追い込まれてしまっているのです。

ですが、お酒の消費量そのものが減り、食の好みが多様化しても、これだけ多くの酒蔵が現存するのは、根強い愛好家が多いことに他なりません。

最近では、低アルコール度数や発泡する日本酒など、斬新な製品が増えてきています。そのおかげもあり、日本酒初心者や女性客、それに海外の方など、これまでとは異なる客層を獲得することに成功しています。

参考:清酒製造業/令和3年調査分(国税庁)

(2)日本酒の風味は地域で異なる?

日本酒の主原料であるお米と水は、地域ごとにそれぞれ異なる特徴があります。それは造られるお酒にも、色濃く反映されています。

また、「甘口」「辛口」「淡麗」「濃醇」といった風味の方向性も、ある程度地域によってつかむことができます。より好みに合った銘柄に出会いやすくなるので、ぜひ押さえておくことをおすすめします。

(3)日本酒の「男酒」「女酒」の違いとは?

日本酒の酒どころや銘柄などの説明で、「男酒」「女酒」という言葉を見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。ですが、何となくのイメージは湧いても、具体的にどのような特徴のことを指すのかわかりにくいものですよね。

男酒と女酒を分ける最大のポイントは、「水の硬度」です。ここでは、それによって生まれる風味や香りなどの違いについて紹介します。

 (1)男酒

「男酒(おとこざけ)」とは、マグネシウム、リン、カリウムといったミネラルが多く含まれる「中硬水(ちゅうこうすい)」で造られたお酒のことです。

ミネラルは、日本酒造りの際に麹や酵母の栄養になります。そのため、中硬水で造られるお酒は発酵がとても活発です。

完成したお酒は、辛口でキレがあり、風味・味わいともに力強さがあります。その魅力を表現するために、男酒と名付けられました。

男酒の代表として有名なのは、兵庫県・灘で作られた日本酒です。

 (2)女酒

「女酒(おんなざけ)」は、キレと力強さのある男酒とは対照的な魅力を表現するための言葉です。優しい味わいやなめらかな口当たりなどが特徴のお酒のことを指します。

 女酒には、ミネラルが比較的少ない「軟水」が使われているため、発酵がゆっくり進みます。その結果、まろやかで繊細に仕上がるのです。

女酒の代表として有名なのは、京都府・伏見で造られた日本酒です。

【2】日本酒の銘柄 三大酒どころの特徴とは?

日本には全国に1,000以上の酒蔵があります。その中でも、「三大酒どころ(酒処)」として特に有名なのが、兵庫県・灘、京都府・伏見、そして広島県・西条です。

ここでは、それぞれの酒どころの特徴や、お酒の風味について紹介します。

(1)兵庫県の酒どころ・灘

兵庫県・灘は、江戸時代から日本酒の名産地として栄えてきました。

それだけではなく、日本酒造りに使われるお米(酒造好適米)の生産地としても有名です。特に、「酒米の王様」と称される「山田錦」の一大生産地でもあり、約6割が兵庫県で作られています。

ミネラルが豊富な「宮水(みやみず)」と、良質なお米で造られる兵庫県のお酒は、濃醇辛口な男酒です。

「濃醇」とは、こっくりと濃厚なお米のコクや旨味、ふくよかさのある風味のことです。それでいて、男酒らしいさらりと軽い飲み口と力強いキレも味わえます。

兵庫県の主な銘柄

「大関」(大関)

「菊正宗」(菊正宗酒造)

「剣菱」(剣菱酒造)

「沢の鶴」(沢の鶴)

「松竹梅」(宝酒造・白壁蔵)

「仙介」(泉酒造)

「白鶴」(白鶴酒造)

など

(2)京都府の酒どころ・伏見

京都府・伏見は、豊富で良質な湧き水に恵まれた立地のおかげで、古くから盛んに日本酒が造られてきました。大規模な酒蔵も多く、あまり日本酒を飲まない人でも知っているような酒造メーカーが数多く建ち並びます。

京都府の水は、カリウムやカルシウムなどを多く含んでおり、日本酒造りにとても適しています。完成したお酒は、軽やかでやわらかく、なめらかな口当たりの女酒が多い傾向です。

淡麗甘口のイメージが強い京都府ですが、濃醇や辛口のお酒も造られています。

京都府の主な銘柄

「黄桜」(黄桜酒造)

「月桂冠」(月桂冠)

「澤屋まつもと」(松本酒造)

「白木久」(白杉酒造)

「蒼空」(藤岡酒造)

「玉川」(木下酒造)

「澪」(宝酒造・伏見工場)

など

(3)広島県の酒どころ・西条

広島県は、地域によって気候風土が大きく異なるため、甘口・辛口、淡麗・濃醇といったバリエーションが豊富に揃っています。

ですが、共通しているのは「まろやかさやきめ細やかな味わい」です。

広島県に湧き出る水はほとんどが軟水なので、それほど日本酒造りに適しているわけではありません。そのため、広島県では「軟水醸造法」というオリジナルの醸造法を開発して、日本酒造りを行っています。

軟水醸造法は、麹をしっかり育てるところから始めます。それによってお米の内部まで麹が行き渡り、発酵が活発になるのです。

ちなみに、この軟水醸造法がその後、淡麗な風味やキレ、香り高さが人気の吟醸酒を誕生させることになるのです。

広島県の主な銘柄

雨後の月(相原酒造)

賀茂金秀(金光酒造)

亀齢(亀齢酒造)

竹鶴(竹鶴酒造)

華鳩 (榎酒造)

富久長(今田酒造本店)

宝剣(宝剣酒造)

など

まとめ:日本酒の銘柄 その他の酒どころもぜひチェックしてみて

今回の記事では、日本の三大酒どころとして昔から栄えてきた、兵庫県、京都府、そして広島県の特徴や風味を中心に紹介しました。

ですが、冒頭でも少し触れたように、日本の三大酒どころには諸説あります。この他にも、淡麗辛口な新潟県、淡麗でやわらかな秋田県、名水で造られる山形県、濃醇甘口な長野県といった様々な都道府県が挙げられます。

いずれもその地域のお米や水の魅力を最大限に活かしており、そこでしか造れない1本が完成します。

また、地域によって、多く出荷されるお酒の種類も異なります。主原料や風味、それに製造法など、ぜひ様々な観点から各地域のお酒を楽しんで下さいね。

酒泉洞堀一では日本酒の人気銘柄から店頭では手に入りにくい珍しい銘柄まで多数取り揃えています。ご自身の好みにあわせてお気に入りの日本酒を探してみてくださいね。何を選んだら良いか分からない!という方は、日本酒ソムリエのおススメ美酒から選んでみてはいかがでしょうか。

売切御免!YouTubeで紹介した美酒はこちら

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