日本で生まれ、各地域の風土や文化の中で育まれてきた日本酒は、まさに日本を代表するお酒の一つと言えます。現在でも独創的な日本酒が次々と造られており、あまりアルコールを飲まない方や海外の方など、新たなファン層を獲得しています。
そんな日本酒を「自分も楽しめるようになりたい」という人はたくさんいるのではないでしょうか。
今回の記事では、「日本酒を楽しむコツ3つ」について解説します。
日本酒を楽しむキーワードである「温度」「アレンジ」「食事」について、すぐにでも暮らしに取り入れられるように紹介します。ぜひ参考にしてみて下さいね。
【1】日本酒を「温度」で楽しむ
日本酒は温度によって風味ががらりと変わるため、1本で様々な楽しみ方ができるお酒です。
ここでは、日本酒の4つの温度帯と、特に相性のよい種類について紹介します。
(1)冷酒
「冷酒(れいしゅ)」とは、10℃前後まで冷やした日本酒のことです。味わいがシャープに引き締まり、すっきりと飲みやすくなります。
華やかな香りが魅力的な吟醸酒や大吟醸酒、軽やかでなめらかな口当たりの本醸造酒などにおすすめです。
冷酒は、温度によってさらに3つに分かれています。
雪冷え(ゆきひえ):5℃。キンキンに冷えている状態。
花冷え(はなひえ):10℃。冷蔵庫から取り出したばかりの状態。
涼冷え(すずひえ):15℃。冷蔵庫から取り出して、10分ほど置いた状態。
(2)冷や
「冷や(ひや)」は、冷やしたり温めたりしない、常温の日本酒のことです。
ですが、冷やの温度はおよそ15℃から20℃が目安なので、夏には少し冷やし、冬には少し温める、というように季節ごとに変える人も多くいます。
まろやかな口当たりやお米の旨味を味わえるので、純米酒や長期熟成した日本酒におすすめです。
(3)ぬる燗
日本酒は温めることでふくよかな香りが立ちのぼり、風味がまろやかになります。ほんのりと温かい「ぬる燗(ぬるかん)」は、とても飲みやすいのでおすすめです。
お米のコクを味わえる純米酒と好相性ですが、銘柄によっては吟醸酒とも合います。
日向燗(ひなたかん)…30℃。温度を感じさせない状態。
人肌燗(ひとはだかん)…35℃。器を持つと柔らかな温かみがある状態。
ぬる燗…40℃。香りが立ちのぼるのを感じられる状態。
(4)熱燗
ぬる燗よりさらに熱くした「熱燗(あつかん)」は、お米の旨味や甘みを味わうことができる温度帯です。そのため、特に純米酒がおすすめです。
上燗(じょうかん)…45℃。器から湯気が立ちのぼる状態。
熱燗(あつかん)…50℃。器を持つと、少し熱さを感じる状態。
飛びきり燗(とびきりかん)…55℃。器が熱くて持てないような状態。
【2】日本酒を「割って」楽しむ
少し前まで、日本酒はストレートで飲むことがほとんどでした。そのため、アルコールがあまり得意ではない人には敬遠されやすいお酒でもあります。
ですが、最近では日本酒もご自分の好みで自由に割って楽しむアレンジが人気です。ぜひ試してみて下さいね。
(1)水割り
日本酒に水を加える水割りは、アルコール度数を下げてくれるものの、風味や香りはしっかり楽しめるアレンジです。
日本酒と水の割合は、ご自分の好みで大丈夫です。あまり飲み慣れていないうちは、水を多めにすることをおすすめします。
(2)お湯割り
お湯割りは、日本酒の香りを楽しむことができます。体が温まるので、ぜひ冬に試してほしいアレンジの一つです。
(3)ロック(氷割り)
氷で割るロックは、日本酒でも楽しめます。グラスにたっぷりと氷を入れて、日本酒を半分まで注いでみて下さい。
氷が溶けるにつれて、ゆっくり変化する風味を味わうことができます。
(4)ソーダ割り
日本酒に無糖のソーダを加えるソーダ割りは、爽快でさっぱりとした味わいになるアレンジです。日本酒独特のコクが苦手な方でも楽しめます。
日本酒とソーダの割合は、どちらを多くしても十分美味しくなります。
(5)カルピス割り
日本酒は、ジュースのように甘いもので割るのもおすすめです。
特におすすめなのは、カルピスで割る「カルピシュ」というカクテルです。意外ではありますが、利酒師の方が紹介していただけあり、日本酒ファンから人気が高いアレンジの一つです。
日本酒造りには乳酸菌が使われているため、同じく乳酸菌で作られるカルピスとは相性が良いのです。
作り方は、グラスに氷を入れて、日本酒8:カルピスの原液2の割合で注げば完成です。カルピスがとても甘いので、日本酒は辛口のものをおすすめします。
【3】日本酒を「食事」に合わせる
晩酌のお伴として愛されてきた日本酒は、食事に合わせることでさらに美味しくなります。
ここでは、「薫酒」「爽酒」「熟酒」「醇酒」それぞれに合ったメニューと食材を紹介します。
(1)薫酒
「薫酒(くんしゅ)」は、華やかで繊細な香りと、爽快な風味が特徴のお酒です。主に、吟醸酒や大吟醸酒のことを指します。
香りを楽しむお酒でもあるので、素材の味わいを活かした、あっさりとした料理との相性が抜群です。
おすすめのメニューは、サラダやフルーツ、カルパッチョ、白身のお刺身、蒸し鶏などです。
羽根屋(はねや) 純米大吟醸 翼(つばさ) 生酒 720ml
(2)爽酒
「爽酒(そうしゅ)」は、軽やかですっきりとした口当たりと、控えめな香りが特徴のお酒です。本醸造酒や生酒、普通酒などが当てはまります。
様々な料理に合わせやすいお酒ではありますが、脂分の多い料理との相性はいま一つです。
おすすめのメニューは、ロールキャベツやシュウマイといった、薄い味付けのものです。
相性のよい食材は、豆腐、山菜、海藻、グリーンサラダ、フレッシュチーズ イカやタコ、貝類のお刺身などです。
(3)熟酒
「熟酒(じゅくしゅ)」は、複雑かつ濃厚な味わいのお酒です。香りも独特で、スパイスや樹木、それにきのこなど、他の3種類とはかなり異なるものが数多くあります。
熟酒には、長期熟成酒や古酒などが当てはまります。
熟酒に合うのは、同じように味の濃いメニューや食材です。
おすすめの料理は、豚の角煮やうなぎの蒲焼、スパイスの効いた中華料理、熟成チーズ、からすみなどの珍味です。
逆に、お刺身のように素材そのものを味わうものにはあまり合いません。
(4)醇酒
「醇酒(じゅんしゅ)」は、4種類の中で最もお米のふくよかな旨味とコクを味わえるお酒です。純米酒や生酛造りなどが当てはまります。
醇酒は、しっかりとした味付けされた、「ごはんが進むおかず」との相性が抜群です。おすすめの料理は、肉料理、シチュー、焼き鳥、煮物、脂の乗ったお刺身などです。
日本酒を楽しむためにはぜひ「和らぎ水」も
日本酒を楽しむためには、ぜひ「和らぎ水(やわらぎみず)」を一緒に飲むようにしましょう。和らぎ水とは、日本酒の合いの手として飲む水のことです。
和らぎ水は、体内のアルコール濃度を下げ、酔いをゆっくりにしてくれます。また、利尿作用のあるアルコールによって脱水症状になりやすい体の水分補給にも適しています。
和らぎ水と日本酒は、1:1が理想です。できるだけ一口ずつ交互に飲むことで、風味をリフレッシュし、深酔いを防いでくれます。
まとめ:日本酒の楽しみ方はファンの数だけある
今回の記事では、「温度」「アレンジ」「食事」という3つのコツに絞って日本酒の楽しみ方を紹介しました。
ですが、日本酒にはこれ以外にも数え切れないほどの楽しみ方があります。
今回取り上げたテーマ以外で人気があるのは、「日本酒の種類」「産地」「銘柄」「酒蔵巡り」「歴史」などです。
日本酒の世界は、風土や文化、科学技術といった多岐にわたるテーマによって、世界中のファンを魅了し続けています。
酒泉洞堀一ではお気に入りの1本が見つかるように、産地、銘柄、種類など様々な角度から日本酒をご紹介しています。また、クラフトビールならぬ、クラフトサケについても様々な種類を販売しています。いつもとは違う味わいを試してみたいという方は是非覗いてみてくださいね。
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