「酒造」と「酒蔵」は違う?日本酒造りに携わる人々の名称を一挙解説!

酒造

「酒造」と「酒蔵」は、どちらも日本酒関連の情報でよく目にする言葉です。漢字が似ているので間違えやすいのですが、実はこの二文字は意味も読み方も異なります。

いざ違いを説明しようとすると、なかなか浮かんでこない人が多いのではないでしょうか。

今回の記事では、「日本酒造りに関連する用語や人々の名称」について解説します。

酒造と酒蔵だけではなく、蔵元や杜氏といった有名な名称や、日本酒造りを支える様々な役職についても紹介します。

一つ知るごとにより日本酒を楽しめるようになるので、ぜひ最後まで目を通してみて下さいね。

目次

【1】酒造と酒蔵は違う?読み方・意味について解説

「酒造」と「酒蔵」は、意味も読み方も異なる言葉です。ここでは、その違いについて解説します。

(1)酒造(しゅぞう)

「酒造(しゅぞう)」は、酒造りという「行為」や「仕事」を意味します。

そのため、酒造りを行う場所は「酒造場」、製造元は「酒造メーカー」と呼ばれています。

(2)酒蔵(さかぐら)

 「酒蔵(さかぐら)」は、酒を醸造したり、貯蔵したりするための「蔵」を意味します。「建物」のことです。

「酒蔵で酒造を行う」と覚えておくと、両者の違いがわかりやすく、おすすめです。

【2】日本酒造りに携わる人々の名称と仕事内容とは?

日本酒造りには、様々な職業の人々が携わっています。ここでは、蔵元や杜氏といった知名度の高い名称から、各工程の実務を支える人々まで、一挙に解説します。

(1)蔵元(くらもと)

「蔵元(くらもと)」は、日本酒を製造するための酒蔵を所有する製造元(メーカー)のことです。

日本酒だけではなく、焼酎や醤油の製造元にも使われることがあります。

中小規模の酒蔵は、家族も経営に携わることが珍しくありません。その場合は、家族も「蔵元さん」と呼ばれることが一般的です。

(2)杜氏(とうじ)

「杜氏(とうじ)」は、日本酒造りにおける最高責任者のことです。製造元である蔵元の下で酒造りの現場を仕切る、監督のような存在です。

杜氏は、各蔵元に一人ずつしかいません。一人で数人から数十人の職人たちを取りまとめて、日本酒造りの複雑で長い工程を管理しなければならないのです。

そのため、酒造りの経験や技術・知識だけではなく、リーダシップやコミュニケーション力なども求められます。

日本全国には数多くの「杜氏集団」があり、流派ごとにそれぞれ技術が異なります。ここでは、特に有名な三大杜氏「丹波杜氏」「越後杜氏」「南部杜氏」の3つについて紹介します。

 日本三大杜氏

【丹波(たんば)杜氏】

丹波杜氏は、兵庫県の杜氏集団です。250年以上の歴史があり、日本の酒造りを率いてきました。

特に、銘酒として名高い灘の日本酒を支えた存在としても有名です。

【越後(えちご)杜氏】

越後杜氏は、新潟県の杜氏集団です。全国第2位の杜氏数を誇ります。

かつては、全国各地へ出稼ぎに出ることが一般的でした。ですが、現在は新潟県が日本有数の日本酒の産地になったため、主に地元での酒造りを中心に行っています。

【南部(なんぶ)杜氏】

南部杜氏は、岩手県の杜氏集団です。杜氏の数が370名と日本一多いことが特徴です。

現在の雇用のあり方に合わせて杜氏制度を変更し、組合で講習会を実施することで、これまで門外不出だった醸造技術を他県の蔵人でも学べるようになりました。

また、南部杜氏の認定制度も設けています。

 現代の杜氏とは?

以前の杜氏とは、主に冬場の農閑期・漁閑期の働き口として酒造りを行う、季節雇用の出稼ぎ労働者たちを束ねるリーダーのことでした。

このような雇用形態が、江戸時代から約300年近く続いていました。

ですが、杜氏の高齢化や日本酒の製造量が減少していること、そして季節雇用という働き方が現代には適していないため、近年は通年雇用の「社員杜氏」が増えてきています。

また、蔵元が杜氏も兼ねる「蔵元杜氏」、若手、女性や海外の方の杜氏などが増えることで、日本酒に新たな感性や魅力が備わり、再びブームが起こっています。

(3)蔵人(くらびと)

蔵人

「蔵人(くらびと)」は、杜氏の下で日本酒造りに携わる人々の総称です。作業ごとにそれぞれ名称が決められています。

各工程を複数人で担当することもあれば、いくつもの役割を一人で兼任することもあります。主に、蔵元の規模によって異なります。

ここでは、それぞれの名称と仕事内容について紹介します。

 (1)頭(かしら)

「頭(かしら)」は、杜氏の補佐役のことです。

現場で実際に作業の指揮を執ったり、蔵人の配置を決めたりするため、他の役職や責任者を順番に経験したうえで就くことが一般的です。

 (2)大師(だいし)・麹師(こうじし)

「大師(だいし)・麹師(こうじし)」は、麹造りの責任者のことです。麹は、日本酒独特の製法である「並行複発酵」を行うための重要な存在です。

麹によって米のデンプンが糖化し、アルコール発酵が行われます。また、日本酒ならではの米の旨味やふくよかさは、麹や並行複発酵のおかげで生まれるのです。

 (3)酛廻し(もとまわし)・酛師(もとし)

「酛廻し(もとまわし)・酛師(もとし)」は、酒母(しゅぼ)造りの責任者のことです。

酒母とは、「酒の母」と書くように、日本酒を醸造するための酵母のことを指します。「酛」という漢字が「酒」の「元」で構成されることから来ています。

 (4)釜屋(かまや)

「釜屋(かまや)」は、蒸米造りの責任者のことです。酒米の洗米や米量り、釜の焚き付け、仕込み水汲みなどを行います。

蔵元ごとに、日本酒造りにおいて重要視している工程が異なります。ですが、「一に蒸し、二に蒸し、三に蒸し」というほどこだわる蔵元もあるほど、蒸米造りはお酒の完成度に大きく影響を与えます。

 (5)船頭(せんどう)

「船頭(せんどう)」は、醪(もろみ)を搾る工程の責任者のことです。

発酵が終わって熟成させた醪は、圧搾によってお酒と酒粕に分離します。この工程を「上槽(じょうそう)」と言います。

搾りに使われる道具は、舟の平底に似ていることから「槽(ふね)」と名付けられました。そのため、この作業を行う蔵人を束ねる責任者も「船頭」と呼ばれるようになったのです。

 (6)道具廻し(どうぐまわし)

「道具廻し(どうぐまわし)」とは、酒造りに使用する道具の整備や管理などを行う人のことです。また、それ以外に、水の運搬や洗米、米量りや仕込み水汲みなども担当します。

 (7)碓屋(うすや)

「碓屋(うすや)」とは、精米作業の責任者のことです。精米も行う場合のみで、全ての蔵元にいるわけではありません。近年は、精米を専門工場へ外注する蔵元も増えてきています。

碓屋の下では、「枡取り」「米踏」などの職人たちが働いています。

まとめ:日本酒造りに携わるプロフェッショナルたちを知ろう

日本酒は、酒蔵(さかぐら)の中で酒造(しゅぞう)が行われています。まずはこれを押さえておくと、他の名称もスムーズに覚えやすくなり、おすすめです。

製造元である蔵元では、杜氏をトップとして様々な蔵人が各工程に携わっています。

杜氏集団は日本全国にいますが、流派によってこだわりの技術がそれぞれ異なります。好みのお酒がある人は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

近年は、杜氏のあり方一つでも以前とは異なっています。特に、若手や女性の杜氏が増えてきたこともあり、日本酒初心者にも飲みやすい低アルコールやアレンジなど、新たな日本酒の楽しみ方も誕生しています。

海外では、「SAKE」と聞くだけで伝わるほど人気が高い日本酒。ぜひその魅力を支えるプロフェッショナルたちの仕事も覗いてみて下さいね。

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